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大平温泉

いま、山形から・・・ 温泉王国やまがた 湯から望む最上川の源流 大平(おおだいら)温泉(米沢市)
(平成29年8月18日掲載)

 県内全部の市町村に温泉がある『温泉王国・山形県』。その中でも米沢市には個性豊かな名湯、秘湯が八つあり、米沢八湯(※)といわれています。今回ご紹介するのは米沢八湯のひとつ。吾妻連峰の山中にあって、車ではたどり着けない秘湯中の秘湯、「大平温泉」です。

歩かなければ、たどりつけない温泉宿

 米沢市街から南へ。米沢の奥座敷「白布温泉」に続く県道米沢猪苗代線から分かれた後、車同士がすれ違うことのできないほど細い山道へ。慎重に徐行しながら車を走らせることおよそ45分。山頂に駐車場が見えてきます。安心したのも束の間。この後、ちょっとしたトレッキングが待っているのです。駐車し運動靴に履きかえ、いざ出発です。道はせっかく登りきったというのに、なんと下り坂に。

この道を下ってきました。
宿のスタッフが舗装・管理されている道。さらに下って・・・。
滝見屋の大屋根。見えてくると、やはり安堵
一度に5人以上渡れない小さな吊り橋。見返りの吊り橋

 頭上には高い木々が葉を広げ、木漏れ陽がさしています。聞こえるのは鳥のさえずりと風にそよぐ樹木の音。高地のせいか夏でも涼しく、森林浴のような気分です。山道をくねくね曲ると、道はさらに急峻に。運動不足の身体はだんだん息が荒くなりますが進むしかありません。足元が滑らないよう靴底に力を込め、谷底に向かってひたすら歩きます。やがて遠くの方から谷川の音が。うっすら額に汗がにじむころ、ゴウゴウという川音が近づき目の前に小さな吊り橋が現れます。この吊り橋を渡ると赤い屋根の宿が見えてきます。駐車場から20分ほど歩いて、ようやく大平温泉「滝見屋」に到着です。


 

道なし、電気なし、重機なしでの宿建設

 大平温泉にある宿は滝見屋1軒のみ。吾妻連峰の山中、標高1050mにあり、磐梯朝日国立公園の中に位置する“日本秘湯を守る会”の会員でもある温泉宿です。発見されたのは西暦860年といわれ、1771年には米沢藩主・上杉鷹山が、江戸から招いた師・細井平洲とともに訪れたという記述が残っています。滝見屋は1801年に浴舎を建て開業し、旅館業を始めたのは1909(明治42)年といいます。

これが滝見屋の建物。日本秘湯を守る会会員です。

 最上川の源流、渓谷沿いに建つ宿は、常に雨など自然環境の影響を受けてきました。大正15年に東北地方を暴風雨が襲ったときは建物と源泉が致命的な打撃を受けます。標高が高く工事の請負者がいなかったため、山を切り崩しての宅地造成と建物工事を自分たちで行ったのだそうです。また昭和9年に4年をかけて竣工するも、昭和13年に火事により全焼。戦中だったことから旅館は贅沢扱いされ建築許可が下りず、一時再建を断念しましたが、昭和16年から旅館の建築を開始。昭和17年からは現在の市道にあたる山頂駐車場までを含めた道路を自力で工事し、現在に至ります。


 

とっぽ~ん。自然の中につかる。
火焔の滝からの川水と二階滝からの川水が合流しています。

 汗をかいて宿に到着したら、まず温泉につかりましょう。露天風呂は豪快に流れる谷川のほとりにあります。解放感たっぷりの湯船からは、水の流れと樹木に芽吹く緑を望むことができ、お湯は無色透明で、やわらか。「ふぅ~、気持ちがいい。周りの木々や青空までもが自分のもののよう」。まるで大自然をひとり占めしているかのようです。この谷川の露天風呂より少し上流には「最上川源流之碑」が建ち、この地点が最上川のはじまりとされています。

露天風呂のすぐ隣りは最上川の源流

 また、風情のある内湯からは、大きなガラス窓越しに、宿の名前の由来となった“火焔(かえん、ひのほえ)の滝”を望むことができます。滝に夕日があたると炎がめらめらと燃えているように見えることから、この名前が付いたそうです。露天と内風呂、どちらからの眺めもすばらしく、時のたつのを忘れてしまいます。ちなみに泉質はカルシウム-硫黄塩泉で、入浴効能は胃腸病や高血圧、神経痛、リウマチ、皮膚病、便秘など多岐にわたります。

内湯からの眺め。隣接する休憩所からも滝を見ることができる。

 スタッフの今井正良さんは「お客さんの第一声は『途中の山道がこんなひどいと思わなかった、大変だった』ですが、お帰りになるころには、『今までこんないい風呂に入ったことはない。本当に来て良かった』といってくださいます」と嬉しそうに話してくださいました。

 滝見屋には山形県内はもちろん、宮城、福島などの近県だけでなく、東京や九州、四国からもお客様が訪れ、近年は海外からの宿泊客も増えたことから洋室も準備されました。また旅館の中に飾られている多くの水彩画や油絵、写真は滞在客からの贈りものなのだそうで、この旅館に魅了され、毎年のように訪れる人々が後を絶たないのも納得です。


 

山のもてなし、山での暮らし
電気、水道、温泉の源泉管理と、何でもこなすスタッフの今井正良さん

 お風呂でスッキリしたら、お腹がすいてきました。この日の夕飯はヤマメの塩焼き、鶏団子の山菜鍋、ミズ(山菜)のたたき、米沢の郷土料理・や汁、鯉のカルパッチョなど。市販品などは使わず、この地ならではの食材を、女将と近隣のスタッフがすべて手づくりしています。当然のことながら、これらの食材はすべて米沢市内から運んでいます。今井さんによれば、生活用水や温泉の源泉も、電気さえも、自分たちで維持管理しているのだそうです。電気は自家発電のため、2日に1度は発電用の軽油を取りに行かなければならないとのこと。さらには道路の点検も自分たちで行っています。毎日、朝と晩、米沢市内と宿を往復し、道路に落石などがあれば、可能なものは自分たちで片付けるのだとか。「私たちが気づかないと、お客様がやらなければなりませんから」と今井さん。

 蛇口をひねれば水が出て、スイッチを押せば灯りがつく。それが当たり前だと思ってしまいがちですが、それができるのはたくさんの方が管理してくれているから。山の中の宿はそのことを思い出させてくれます。

夕食のお膳。すべてが手づくり。食材選びは体にやさしいものを。
この発電小屋から電気を送っています。
宿泊客の荷物や食材、日用品などはゴンドラで運んでいます。


 

宿の楽しみ最上川の源流、吾妻山縦走
木々の向こうに、最上川の源泉火焔の滝が見えます。

 この宿を訪れたら、火焔の滝へ足を伸ばしてみるのもおすすめです。滝にどこまで近づけるかは、水量により違ってくるといいますが、魚釣り用の胴付きゴム長靴を履き、川底の石を渡り歩いて30~60分かかるとのこと。

5mはあろうかという梯子。ほぼ直角に立てかけられています。

 そこまで行けないなら、旅館入口の横にある赤い鉄梯子を登ってみてください。遠くに望む火焔の滝が木々の緑の中に浮かび上がり、まるで一枚の絵画のようです。この梯子は2時間半で天元台へと続く登山口になっています。滝見屋に連泊し、白布や姥湯、滑川などへの縦走を楽しむ登山客もいるのだそうです。またすぐ近くには「森の巨人たち100選」に選ばれた樹齢600年のミズナラの大木があります。

「かえん」「ひのほえ」と2つの呼び名がある火焔の滝

 登山好きな方にも、日常を忘れてリフレッシュしたい方にも、一度は訪れていただきたい大平温泉「滝見屋」。積雪が多いため、営業はGWから11月初旬までの期間限定となります。宿泊の他、お風呂だけの利用や日帰りプランもあり、車の運転が不安な方には送迎サービスも行っています。ちょっとだけ冒険に出かけてみてはいかがでしょうか。

(※)米沢八湯・・・大平温泉のほか、小野川温泉、姥湯温泉、白布温泉、滑川温泉、新高湯温泉、五色温泉、湯の沢温泉。


 

取材協力・お問い合わせ

大平温泉 滝見屋 TEL.0238-38-3360 http://takimiya.blogdehp.ne.jp/
米沢市産業部観光課 TEL.0238-22-5111
 


 


 


 

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  • 平成29年8月18日掲載

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