かほくイタリア野菜研究会 生稲洋平さん
コールラビ、ローザビアンカ、カプリス。聞きなれない単語ですが、これらは全て、野菜の名前なのです。山形県河北町でイタリア野菜を生産する「かほくイタリア野菜研究会」。副理事長を務める生稲洋平さんは、神奈川県出身で元料理人という経歴の持ち主です。

東京の大学を卒業後、好きだった料理の世界に飛び込んだのですが、働いていくうちに食材への関心が強くなっていきました。そんな中、山形で専業農家を営んでいる妻の実家で、食材の豊かさに感動したんですね。その後、何度も足を運ぶうちに、その食材たちに魅せられて山形での就農を決意しました。「おいしいものを作って喜んでもらいたい」という根本は変わっていません。場所が厨房から畑に変わるだけという気持ちでしたので、すんなりと入ることができましたね。その後、東根市の農園での1年間の研修を経て、妻の実家が経営する果樹農家に就農しました。
イタリア野菜の栽培には元々すごく興味があって、イタリア野菜プロジェクト(現在の研究会の前身)の話を聞いたとき、なにか協力できればと思い参加しました。野菜を育てることに関しては、他の会員さんの方が知識も経験もありますが、イタリア野菜を見たことも、食べたこともない人が多いだろうから、自分の知っていることが役に立つのではないかと考えました。

料理人時代に「休日は他の店の料理を食べに行きなさい。自分が働いている店でやっていることは、限られた世界の中の話だから、味付けや食材の使い方、店内のオペレーション(運営)、使っている食器まで、他の世界ではどうしているのかを勉強してきなさい」と教わりました。これは、農家も同じだと思うんです。「市場に売りに出しておしまい」では、市場の相場に振り回され、一喜一憂するしかない。自分の野菜がどこで、どういう形で消費者の口に届いているのかを知ることはとても大切。だから取引しているレストランに、実際に足を運び料理を食べるようにしています。「僕らの野菜はこんなひと皿になるんだ」って感動もするし、「手は抜けないな」って身が引き締まるんですね。あと、自分の物差しだけで出荷していたら、分からないこともある。必ずしも規格に合わせる必要はないっていう部分もあるし、逆にすごく細かい傷も許されないこともある。その基準が分かってきますね。

研究会では会員が集まってワイン会を開催しています。イタリア野菜について勉強するのはもちろんですけど、自分たちで作った野菜を、自分たちで調理して食べてコミュニケーションを図ります。もちろん僕もアイデアを出して料理をします。みんなが毎日顔を合わせるのは難しいですけれど、そうやって料理を囲んで意思疎通を図ると、会員の士気が上がります。先日のワイン会では自作の石窯を持って行きましたが、それこそ同じ”釜”の飯を食べることで、結束が強まりますよね。そうやって培ってきたチームワークが、この研究会の一番の武器だと思っています。
イタリア野菜を使った料理教室の問い合わせもよくあります。つながりも広まってきたので料理教室の先生に協力してもらいながら、イベントをすることも増えました。たくさんの人が関わっている会ですので、副理事長としては生産者と事務局(商工会)、料理人など、いろんな人の間に入って、円滑に活動ができるように心がけています。

縁があって河北町に住むことになったんだから、もっと良い町にしたい。この気持ちは、神奈川に住んでいたときにはありませんでした。当時は、地元サッカーチームにすら興味を持てませんでしたが、山形に移り住みモンテディオ山形を応援している自分がいるんです。山形を、河北町を、好きになっていきました。県外から来ているから、町の魅力をより分かっている部分があるし、そういうところは昔から住んでいる方にも伝えるようにしています。
かほくイタリア野菜研究会の活動を通して、町を少しずつ元気にできたら。都会のようなにぎやかさを求めるわけではないですけど、「河北町は食が豊かなんだ」というイメージを浸透させて、町の活気に繋げていければいいですね。その芽が出始めている実感はあるので、根気よく活動して、これからも生産者はもちろん町民全体のモチベーションが上がる取り組みをしていきたいです。
■かほくイタリア野菜マルシェ
日時:毎週金曜 10:00~13:30 ※野菜の入荷状況により臨時休業有り
場所:
矢ノ目糀屋facebook/https://www.facebook.com/Yanomekouziya
・かほくイタリア野菜研究会(河北町商工会内) tel.0237-73-2122(代)
http://kahoku-italia-yasai.com
この記事に対するお問い合わせ
- 担当課:秘書広報課
- 担当:広報担当
- TEL/FAX:023-630-2088
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