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羽黒山

いま、山形から・・・ 厳選やまがた 明日への新たな力に満たされる 羽黒山(鶴岡市)
(平成29年10月6日掲載)

 山形県の中央に位置する羽黒山、月山、湯殿山。3つの山の雄大な自然を背景に生まれた羽黒修験道しゅげんどうの奥義は、出羽三山をめぐることで生きながらにして新たに生まれかわれるというもの。江戸時代に庶民の間に広がった「生まれかわりの旅」。この旅の始まりとなるのが羽黒山参拝です。随神門から山頂までは徒歩で1時間ほどですが、心身を潤し明日への新たな活力を与えてくれます。


 

三関三渡(さんかんさんど)の旅
蜂子皇子御尊影 左下は金剛童子、右下は除魔童子

 おおよそ1,400年前、羽黒山は第32代崇峻すしゅん天皇の皇子みこ蜂子皇子はちこのおうじによって開山されたといわれています。皇子が難行苦行の厳しい修業を行ったという羽黒山は、羽黒修験道の地です。

鶴岡市中心部から庄内平野を横切り、羽黒街道が羽黒丘陵にかかる景勝の地にある高さ22.5mの羽黒山大鳥居<画像提供:羽黒町観光協会>

 修験道とは自然信仰に、仏教や密教が混じり生まれた日本独特の山岳信仰。羽黒修験道では、羽黒山は現世げんせの幸せを祈る山(現在)、月山は死後の安楽と往生おうじょうを祈る山(過去)、湯殿山は生まれかわりを祈る山(未来)と見立てられています。生きていながら新しい魂として生まれかわれるという信仰は、現在・過去・未来をめぐる、「三関三渡の旅」とされ、江戸時代に庶民の間に広がったのです。

 当時、西に位置する伊勢神宮へのお参りと対を成すものとして、「西の伊勢参り、東の奥参り」として一生に一度は参拝するという風習があったといわれています。

※出羽三山を巡る「生まれかわりの旅」は、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリー「日本遺産(Japan Heritage)」として文化庁から認定されました。


 

新しい自分を探す私たち
宝冠、白衣、袴、脚絆、足袋。手には金剛杖。これが行者スタイル。

 生まれかわりを求め、出羽三山の参拝道に列をなしたという江戸時代の人々。現在では生活もコミュニケーションの仕方も大きく変わりましたが、私たちも生まれかわりたいと願い「新しい自分になる方法」を探しているような気がします。

 過去の自分に会い、明日の私になるための「生まれかわりの旅」。新しい自分探しとして、日々のリフレッシュとして、古の参道を歩く、羽黒山参拝はいかがでしょう。歩きやすい靴を履いて飲み物を準備したら、楽に歩くことができるという杖“金剛杖”を貸してもらい出発しましょう。山で修行するために山伏たちがまとったという白装束を有料で貸してもらうことができます(期間限定)。白装束を身につけ気持ちを新たにするのにいいかもしれません。


 

神聖な山の空気に包まれて
羽黒山の入り口、随神門

 羽黒山は出羽三山の中で最も里山に近く、現生利益げんぜりやくを叶える山といわれています。入口である随神門をくぐると、ここから神域に。すぐに2446段の石段がはじまります。継子坂ままこざかを下ると、何かに手招きされるかのようにひんやりとした森の中へと入って行きます。

平安期平将門の創立とされる五重塔(現在の塔は、約600年前の室町時代に、大宝寺城主の武藤氏による再建と伝えられている)

 約2㎞続く石段は、江戸時代に羽黒山50代別当・天宥てんゆうが13年の歳月をかけて敷設したもの。石段の奥行が狭く、自分の歩幅で歩けないため、思った以上に苦戦する方も多いようです。継子坂が終わると多くの末社まっしゃ(=本社に付属する小さな社)が点在しています。「健康」「縁結」「商売繁盛」など自分の願い事にあわせ、社に手を合わせて登るのもおすすめです。

須賀の滝と祓川神社

 水しぶきを上げる須賀の滝すがのたきを右手に見ながら、祓川はらいがわにかかる赤い橋・神橋しんきょうを渡ると、いよいよ神様の世界に近づいたように思えてきます。

 少し登ると杉の大木の間に、国宝である羽黒山五重塔が見えてきます。屋根は日本古来のこけら葺き、三間五層の素木しらき造りという伝統的な手法による美しいもの。ここでは誰もがカメラのシャッターを切りたくなります。そばには樹齢千年以上といわれる、杉の老木・羽黒のじじスギがそびえていました。


 

二の坂茶屋でひと休み

美しい参道をひたすら登る
名物力餅とお抹茶

 ここから登り坂になり、一の坂、二の坂、三の坂と続きます。いくつかの末社を見ながら、ひたすら石段を登ります。石段の両側には総勢580数株、樹齢350~500年という杉の並木が続き、静かで荘厳な雰囲気。ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンに掲載されている羽黒山のスギ並木は、映画のロケなどにも使われています。

二の坂茶屋
庄内平野や日本海を見渡す。晴れた日には飛島を見ながら一休み。

 三つの坂のなかでもっとも長く、急なのが二の坂で、別名弁慶の油こぼしともいわれ、武蔵坊弁慶があまりの勾配に奉納する油をこぼしてしまった、と伝えられています。息が切れてひと汗かいたころ、二の坂の終わりに見えてくるのが、「二の坂茶屋」です。搗きたての力餅とお茶で一休み。お茶もお餅も有りがたい気持ちでいただきました。茶屋からは眼下に雄大な庄内平野が広がり、遠く日本海や飛島までも望むことができます。この茶屋は江戸時代から代々続いているそうで、女性のスタッフは毎朝ここまで歩いて登ってくるのだとか。その中には83歳のおばあちゃまもいるのです!お茶もお餅も有りがたい気持ちでいただきました。

 「これ位の坂道で疲れてなんていられない」。気持ちも新たに出発し、三の坂を越え、精進料理の食事処・羽黒山斎館を過ぎ、山頂に到着しました。


 

三神合祭殿をお参りして

石段には33個の彫り物が刻まれているとのこと。全部見つけられたら願いがかなうという。

 石段を登り終えると、迫力のある三神合祭殿が迎えてくれます。中世の構造を残した貴重な茅葺木造建築の大きな社殿は、羽黒山・月山・湯殿山の三神を合わせて祀っています。最初にお参りをするのは中央にある主峰月山。月山が表すのは前世(過去)。次は現世を表す羽黒山、そして最後に未来を表す湯殿山の順番でお参りするのだそうです。出羽三山神社 禰宜ねぎの吉住登志喜さんにお参りの仕方について伺いました。「お参りの際には、今日この場所に来られたこと、三度のご飯を食べられること、これまで無事に生きて来られたことを感謝します。それから願い事ですが、欲張りな願いではなく、平穏な日常を送れるようお願いした上で、受験や就職など特別な事柄をお願いすること。そしてその願いがかなったら、お礼参りとして再び同じ場所を訪ねることです」と教えてくださいました。大切なのは“感謝する心”のようです。

羽黒山三神合祭殿 茅葺の建物としては日本最大級の大きさ。

 境内には平安・鎌倉時代から人々が願いを込めて鏡を奉納したという御手洗池(鏡池)や開祖・蜂子皇子を祀った神社など、さまざまな場所があります。また参集殿の受付や二の坂茶屋などで「石段を踏破し、羽黒山を参拝した認定書」を受け取ることができます。良い旅の記念になりますね。

認定証は無料でもらえます。

 参拝道を引き返すころ、心地よい疲れとともに、大きな充実感のようなものを感じました。無心になって歩き、山や樹木、風からエネルギーを、出会った人々から安らぎをいただいた気がした羽黒山参拝。深まりゆく秋の中、新しい自分に出会える、羽黒山へ、ぜひお出掛けください。

<食事・宿泊>
出羽三山信仰と修験道を支えてきた手向とうげ地区にある宿坊、山頂付近にある斎館では山伏たちが食べていたという精進料理をいただくことができます(予約制)。また宿泊も可能です。
<アクセス>
羽黒山へは鶴岡駅から庄内交通のバスかタクシーをご利用ください。
バスの場合:鶴岡駅~随神門(石段登り口) 約30分、随神門~羽黒山頂、約15分


 

取材協力・お問い合わせ

庄内総合支庁地域産業経済課(観光振興室) TEL 0235-66-5493
二の坂茶屋 鶴岡市羽黒町手向73-1 TEL 0235-62-4287
出羽三山神社(三神合祭殿) 鶴岡市羽黒町手向字手向7 TEL 0235-62-2355
いでは文化記念館 鶴岡市羽黒町手向72 TEL 0235-62-4727
 


 


 

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  • 平成29年10月6日掲載

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